2025年3月2日(日)、東京湾遊漁船業協同組合が開催する江戸前釣り大会が開催されました。
この大会が開催されたのはじつに5年ぶり。
昨年1月に東京湾遊漁船業協同組合が設立50周年を迎え、待望の復活となりました。
過去に開催された大会では、船釣りマニアから人気が高いマコガレイをターゲットに白熱の戦いが繰り広げられていました。
しかし、今回から初心者でも釣りやすく、さらには食べても美味しいアジ、タチウオの2魚種をターゲットに同日開催されることとなりました。
参加釣船と大会ルール
この大会に参加したのは、東京都大田区を中心に神奈川県川崎市から千葉県浦安市までのエリアにあり、東京湾遊漁船業協同組合に加盟する以下の11の釣り船。
・アジ
南六郷 ミナミ、羽田 かめだや、羽田 かみや、大森 まる八、深川 吉野屋、葛西橋 第二泉水、千住大橋 入舟
・タチウオ
川崎 中山丸、羽田 かみや、東大井 いわた、深川 吉野屋、葛西橋 第二泉水、浦安 吉久、浦安 岩田屋
1隻の船におおよそ20人を乗せて各釣り船の桟橋から出船し、それぞれの釣り場でターゲットを狙います。
大会のルールはとにかく大きいアジ、タチウオを釣った人から順位を決めるというシンプルでわかりやすいもの。
細かくいうと、タチウオは1本の全長、アジは2尾の合計(尾叉長)で順位が決まります。
また、総合順位は、各船の1位から順番に決める「釣り船単位の横取り方式」で決定します。
つまり、総合で上位入賞するためにはまず乗っている船で1位になり、ほかの船の1位よりも大きな魚を釣る必要があるということです。
タチウオ1本、アジ2尾の長さ勝負であれば、釣りの熟練度問わず、誰にでも入賞のチャンスがあるのではないでしょうか!?
また、各船の1〜3位、さらには飛び賞も用意されているとのこと。
さらには豪華景品が当たる抽選会もあり、上位に入賞しなくても多いに楽しめる大会となっています。
アジ狙いで「かみや」に乗船
ここからは、羽田「かみや」に大会参加者として乗船した筆者がその様子をレポートします。
かみやのアジ船に乗船したのは21名。
その中にはかみやに足繁く通う常連の人も多くおり、出船前から楽しく談笑していました。
大会に参加する釣り人のみなさんにお話を聞くと、
「作戦はとくになし、釣りを楽しむだけだよ!」
「数を釣ってその中に大きいサイズを混ぜる作戦ですね」
などなど。
大会で勝つことを意識している人、大会の雰囲気を味わいながら釣りを楽しみたい人、それぞれの思いを乗せて、定刻の7時半になったらいざ出船です。
いつもよりも速い速度で船が走り、到着したのはストラクチャー周り。
みなさん足早に仕掛けを準備し、船長の合図とともに仕掛けを投入します。
出船前のワイワイとした雰囲気から一転、釣りが始まると大会特有の真剣モードに。
そんな釣り人の思いとは裏腹にアタリはなく、すぐに船長から移動するとのアナウンスが。
移動した先でもなかなか反応を得られず
「アジ、どこに行っちゃったんだよー、全然反応ないよー」
と船長からの悲鳴が。
それでも大きなアジが釣れる場所を探し、幾度となく高速移動を繰り返します。
そして、やってきたのは横浜を眺める沖。
釣りを再開した直後に
「やったぁー!」
と声が上がり、アジをキャッチした様子。
それを皮切りにポツポツアジが上がり始めました。
そして筆者にも本命が!
多くの釣り人がアジをキャッチし、残りあとわずかになったタイミングで
「やっぱり、もう一回大きいの狙ってみるかな!?」
と船長が賭けに出ます。
最後になんとかアジを追加したいと粘るものの、なかなかヒットしません。
大会のスタッフがアジの計測を始め、みなさんドキドキとしながらその様子を見ています。
そんな中、筆者にようやくアジがヒット。
5尾目のアジをキャッチしたところで納竿となりました。
かみやの1位に輝いたのは、かみや常連の釣りうま、垣内さやかさん。
じつは出船前に同船者から
「船の1位候補はさやかさんだよ」
と多くの人がおっしゃっていましたが、その通りの結果となりました。
大森「まる八」の桟橋に参加した船が集合し、これからお楽しみの表彰式。
結果が発表されると、3位から1位までの差はなんと0.5cmと大接戦!
しかも、1位と2位は2尾の長さが48.5cmでまさかの同率。
大会規定により、1尾の大きさで勝った人が優勝ということで、総合優勝に輝いたのはまる八にご乗船の小沼輝雄さんでした。
残念ながら筆者が乗船したかみやから上位入賞する釣り人はでませんでしたが、豪華な景品が当たる抽選会もあって、みなさん盛り上がり、大満足で閉幕となりました。
タチウオ狙いで「岩田屋」に乗船
タチウオ部門の取材は、浦安「岩田屋」に乗船しました。
朝6:30、大会にエントリーした21人の釣り人を乗せた船がまず向かったのは猿島沖。
ここにタチウオ部門に参加する7つの釣船の全隻が集合しました。
そして全隻が並んで記念撮影をし、いよいよ競技開始。
大海原に各船が一斉に散っていきます。
岩田屋・岩田一人船長が操縦する船が向かったのは、集合場所に近い猿島周辺。
55から54mという船長からの指示タナを聞き、皆さん一斉に仕掛けを落とします。
すると、なんと1投目から2人がほぼ同時にヒット。
92cm、104cmと良型が出て船内が活気づきます。
ですが、そこから後が続きません。
決して状況はいいとはいえないようで、この日は移動を繰り返しながら拾い釣りをするという展開に。
しかし、今日は数ではなくてサイズ勝負!
1本しか釣れなくても、大きなタチウオが釣れれば優勝の可能性があります。
ということで、皆さん最後まで集中を切らさず釣りを続けていました。
体高はあるのに尻尾が短いという個体が多かったのが残念でした。
そして、そんな中で船内のトップを獲得したのは、常連の天草さん。
サイズは117.5cmでした。
今日の渋い状況でこのサイズは本当にお見事です。
12:30に納竿したあとは、大森「まる八」の桟橋に移動して表彰式に参加。
全体の優勝サイズが132.7cmということで、残念ながら岩田屋からは全体の表彰台に上がる人は出ませんでしたが、豪華賞品が当たる抽選会などもあり、大いに盛り上がりました。
表彰式を終えたら浦安へと戻ります。
いつもの釣りとは違う競技としての釣りを存分に楽しんだようで、皆さん最後は笑顔で下船しました。
アジ部門の勝者にインタビュー
江戸前釣り大会アジ部門、総合優勝に輝いたまる八にご乗船の小沼さん(写真真ん中)。
釣り歴20年、普段はカワハギ、マルイカなどの釣りを楽しみつつ、アジ釣りを始めて10年が経過しているというベテランさんにお話を伺いました。
ーー優勝おめでとうございます!
今回はアジ2尾の長さ勝負ということでしたが、勝つためにどのような作戦で挑みましたか?
小沼さん:ありがとうございます!
このところアジの食いが渋い状態が続いていました。
いつものアジの釣り方ではなかなか口を使ってくれない状況で、さらにはアジがビシの動きを嫌がっているように感じ、あまり仕掛けを動かさないことを徹底しました。
また、重要になったのはタナですね。大きいアジを狙うために、高めのタナに仕掛けを留めるように工夫しました。
ーー仕掛けをあまり動かさない、高めのタナを狙う、この2点が重要だったわけですね!
今回の優勝賞品はどのようなものでしたか?
小沼さん:アジ釣りで使える竿とフライヤーをいただきました!
この竿でアジを釣って、フライヤーでアジフライを作ってみたいと思います!
アジ・タチウオともに大盛況で閉幕!
大盛り上がりで閉幕した江戸前釣り大会。
今年は逃してしまったという人は、来年はぜひ参加してみてくださいね!