公開 2024年08月06日更新 2024年08月27日

船で釣れるかもしれない危険な魚とは?

ハオコゼ

船で釣りをしていると、狙っているターゲットだけでなく、さまざまな魚が釣れます。

その中には、危険な魚もいるってご存知ですか?

毒がある魚だけでなく、歯が鋭くて怪我をする可能性がある魚もいるんです。

そのような魚が釣れたときに、知らずに触れてしまい、怪我をしてしまう事例も。

そこで今回は、船で釣れる可能性がある危険な魚を紹介します。

食べると危ない魚、触ると危ない魚、歯に要注意な魚に分けて解説するので、ぜひご参考にしてください!

食べると危ない魚

◾️フグ

トラフグ

フグは、毒を持つ代表的な魚。

青酸カリの1000倍以上ともいわれる猛毒のテトロドトキシンを含むことで有名です。

一部には毒を持たないフグもいますが、フグの調理には調理師免許が必要

釣り船によっては、資格を有したスタッフが捌いてくれる場合もあります。

ご自身で食べてみようと捌くのは非常に危険なので絶対にやめましょう。

毒を含む部分は種類によって異なるのも特徴的です。

例えば、高級魚としても知られるトラフグは、皮、卵巣、腸に毒を含みます。

トラフグには10人分の致死量の毒を含んでいるとのこと。

そう聞くと怖いですよね。

サバフグ

トラフグだけでなく、さまざまな種類のフグが釣れることも。

毒だけでなく、鋭い歯も持っているので、針を外すときには十分に注意しましょう。

◾️キタマクラ

キタマクラ

キタマクラは、亡くなった人を北向きに寝かせることが名前の由来で、その名の通り、猛毒を含む魚。

こちらもフグの仲間ですが、特に釣れることが多いので注意が必要です。

フグと同じ猛毒のテトロドトキシンを有します。

カワハギやウマズラハギに似た見た目をしていて、誤って食べてしまったとの事例もあるとのこと。

カワハギ

こちらは毒を持たないカワハギの写真。

ウマズラハギ

そして、こちらも毒を持たないウマズラハギですが、この2種類は表面がザラザラしている一方、キタマクラはヌルッとしているのが1番の違いです。

内臓はもちろんのこと、皮膚の粘膜にも毒が含まれているので要注意。

手に傷があるとそこから毒が侵入する可能性があるので、手に傷がある状態で触れてはいけません。

キタマクラはシロギスやカワハギなどを狙っているときに釣れることが多いです。

カワハギっぽいけど何か違う、そう感じたら触らずに釣り船のスタッフに聞くのが無難でしょう。

◾️ソウシハギ

ソウシハギ

ソウシハギは、その見た目の通り、カワハギの仲間。

一見綺麗な見た目をしていますが、フグ毒のテトロドトキシンよりも強い毒性があるパリトキシンと呼ばれる猛毒を含みます。

SNSで釣り上げた釣り人が持ち帰って食べると投稿したところ、それを見た人が「毒がある」「食べたら危ない」などとコメントをし、九死に一生を得たことでも話題になりました。

消化管や内臓に毒を持つので、持ち帰って食べるのは避けましょう。

南方系の魚で、日本においては沖縄を中心に生息していましたが、水温が上昇するとともにその生息域が北上しています。

瀬戸内海、淡路島近海、日本海などで確認されていましたが、2012年には東京湾にある本牧海釣り施設でも釣果が上がったようです。

磯や堤防で釣れることがあるようですが、船釣りの外道として釣れる可能性も十分にあります。

カワハギ

上の写真のカワハギやウマズラハギとは違い、青い波模様と斑点があったり、尾ビレが長かったりする場合には、ソウシハギを疑いましょう。

触ると危ない魚

◾️ヒョウモンダコ

ヒョウモンダコ

ヒョウモンダコは、フグと同じ猛毒のテトロドトキシンを含むことで有名なタコ。

通常時はマダコのように茶色っぽい見た目をしていますが、興奮した際に青色のヒョウ柄に変わることが名前の由来です。

頭の大きさ3cm、体の大きさ10cmほどでかなり小型のタコとなります。

近年生息域を拡大しており、東京湾でも目撃情報があります。

ヒョウモンダコの毒は唾液に含まれており、噛まれることで呼吸困難を引き起こします。

また、食べることも厳禁。

死んでも毒は分解されないため、死んでから食べるのも絶対にNGです。

エギングで釣れた事例がありますが、そのほかの釣りでも仕掛けに引っかかって釣れる可能性もあります。

小さいタコが釣れたときには、いきなり触るのは避けたほうが無難でしょう。

◾️ハオコゼ

ハオコゼ

ハオコゼはタンパク質毒と呼ばれる毒を持つ魚。

カサゴに似た見た目をしていますが、背ビレが頭の上まであるのが特徴です。

また、大きさは10センチほどと、カサゴよりもやや小ぶりなのも見た目的な特徴。

背ビレが頭の上まであり、10センチ前後の赤い魚が釣れたときにはハオコゼを疑いましょう。

ハオコゼ

ハオコゼの毒は背ビレ、臀ビレ、腹ビレに毒があり、刺されると激しく痛み、腫れて発熱することもあります。

身自体には毒がなく、食べても問題ないですが、ヒレが刺さらないように切り落としてから捌くのがおすすめです。

船釣りでは、シロギスを狙っているときに外道として釣れることが多いので要注意。

釣れたときには小さいからといって油断せず、直接触らないようにしましょう。

◾️オニカサゴ

オニカサゴ

オニカサゴはタンパク質毒を含む魚。

見た目はカサゴに似ていますが、顔がゴツゴツとしていて、派手な赤色をしているのが特徴的です。

また、50cmほどまで成長し、普通のカサゴよりも大きくなります。

オニカサゴ

毒があるのは、背ビレ、胸ビレ。

さらには顔の周りにも毒針があるので注意しましょう。

オニカサゴは高級魚で美味しい魚で、持ち帰る人がほとんどですが、釣れた際にはヒレをカットしておくのが無難です。

※切り落としたヒレには毒が残っています。ヒレを廃棄する際には注意が必要です。

オニカサゴは専門で狙う釣り船があるほか、エサでアマダイを狙っているときやタイラバの外道として釣れることもあります。

慣れている人は口に指を入れて持つ、通称バス持ちをしますが、慣れていない人は真似をせず、フィッシュグリップなどで持つようにしましょう。

◾️ゴンズイ

ゴンズイ

ゴンズイはナマズの仲間で可愛らしい見た目をしている一方、タンパク質毒を持つ魚。

本州では10〜20cmほどがよくみられるサイズですが、沖縄では30cmほどまで成長することもあるようです。

ゴンズイ玉

また、幼魚のときには球状の群れをなし、その状態をゴンズイ玉と呼びます。

毒があるのは、背ビレと胸ビレ。

刺されると火傷のように激しく痛み、腫れあがるので注意が必要です。

食べると美味しい魚で持ち帰る人もいますが、持ち帰るのであれば背ビレと胸ビレはカットしておきましょう。

また、死んでも毒が残っているので、生きていなくても扱いには注意が必要です。

ゴンズイはシロギスの外道で釣れることがあります。

そのほかの釣りでも釣れる可能性があるので、注意しましょう。

◾️アイゴ

アイゴ

アイゴはタンパク質毒を持つ魚。

種類によって茶色や黒、白など色が異なりますが、いずれも背ビレと腹ビレがトゲトゲとしているのが特徴です。

磯に生える海藻を好んで食べ、三浦半島などで問題となっている磯焼けを起こす魚としても知られています。

ハナアイゴ

毒があるのは背ビレ、腹ビレ、臀ビレ。

タンパク質毒を持つほかの魚同様、刺されると激痛が走ります。

死んでも毒が残るため、持ち帰りたい場合には、ヒレをカットしておくのがいいでしょう。

磯や堤防からでも釣れるアイゴですが、船釣りでも海藻帯や岩礁帯の近くで釣りをする場合には外道として釣れる可能性があります。

釣れた際には手で触らずに針を外すようにしましょう。

◾️エイ

アカエイ

見た目が可愛くて、水族館でも人気のエイですが、タンパク質毒を持つ種類がいます。

毒があることで有名なアカエイ以外にも、ツバクロエイやマダラトビエイなどにも毒があるので扱いに注意が必要です。

毒針

毒があるのは尻尾の付け根付近にある毒針。

タンパク質毒で、刺されると激しい痛みや発熱、嘔吐、血圧低下などの症状が発生します。

また、毒針がノコギリのようにギザギザとしており、長靴を貫通することもあるので、釣れても近付かないのがいいでしょう。

毒針が刺さると抜けにくく、傷口が荒らされることもあります。

釣れたときには道具を使って針を外し、直ちにリリースするのが無難です。

尻尾付近に針が刺さってしまったときには、特に注意しながら作業を行いましょう。

毒はないけど歯に注意の魚

◾️タチウオ

タチウオ

タチウオは毒こそないものの、鋭い歯を持つ危険な魚。

東京湾、大阪湾など、全国各地で人気のターゲットで、専門で狙う釣り船も多数あります。

タチウオの歯

その鋭い歯は、アジやイワシなどの小魚を真っ二つに切って捕食できるほど。

誤って手に触れると、一瞬でパックリと切れてしまうので注意が必要です。

慣れている人は素手で頭付近を掴みますが、慣れていない人は真似しないほうが無難です。

魚バサミで頭の付近をしっかりと掴み、頭の動きを制御しておきましょう。

また、タチウオを釣りに行く際には、サンダルは避けておくのがベスト。

サンダルだと、タチウオが暴れて足元に落ち、足に歯が当たって怪我をする可能性があります。

肌を露出しない履き物で安全に釣りを楽しみましょう。

◾️サワラ

サワラ

サワラはタチウオと同様で、鋭い歯を持つ魚。

ルアー釣りで人気のターゲットで、船釣りではジギングだけでなく、キャスティングでも楽しまれています。

サワラが吐き出したイワシ

サワラが吐き出したイワシの写真がこちら。

このようにイワシの胴体が綺麗に切れてしまうほど歯が鋭く、手に触れたら瞬く間にパックリと切れます。

タチウオ同様に、サンダルを履いていると足元で暴れた際に足に歯が触れて切れてしまうこともあります。

サワラの持ち方は、暴れなくなってから尻尾を掴み、それからお腹付近を支えるのがおすすめ。

頭付近を掴もうとすると、いきなり暴れ出して手が歯に触れる可能性が高くなるので注意が必要です。

魚を直接触らないことが大事

フィッシュグリップで掴む

上に挙げた危険な魚はもちろん、種類がわからない魚が釣れた際にも、直接触るのはNG。

直接触れるとヒレが刺さったり、歯が手に触れたりする可能性が高くなります。

直接魚に触れないためには、以下のアイテムを用意しておくのがおすすめです。

必要なアイテム

・フィッシュグリップ

・魚バサミ

・プライヤー

危ない魚が釣れた場合には、フィッシュグリップや魚バサミで魚を固定し、プライヤーを使って針を外しましょう。

直接触れないようにするために、タオルで持とうとするのも避けるのがベター。

毒を持つヒレが長いとタオルを貫通し、手に刺さってしまう可能性があります。

また、船に上げてからデッキに置き、そのままにしておくのも絶対にNG。

毒がある魚や歯が鋭い魚が足元にいると、自分だけでなく、同船する釣り人の足を怪我させてしまう危険性が高くなります。

リリースする魚はすぐに海に返し、キープする魚はバケツやクーラーボックスに入れることを徹底しましょう。

もし触ってしまったら

タチウオの歯で切られたあと

もし危険な魚の被害に遭ってしまったら、どのように対処したらいいのでしょう。

被害に遭った場合にはすぐに病院へ行くのがベストですが、ここでは緊急処置としてできることを紹介します。

まずはオニカサゴやゴンズイなどのヒレが刺さり、タンパク質毒が侵入した場合。

タンパク質毒は熱が加わるとその効果を失うため、火傷しない程度のお湯で温めるのが効果的です。

40〜50℃ほどのお湯に30〜60分ほど漬けるのが目安。

お湯の温度が下がらないように、たまに温度が高いお湯を足しながらヒレが刺さった部分を浸けておきましょう。

外でできる緊急処置としては、自動販売機でホットの缶コーヒーを購入し、患部に当てるのもおすすめ。

ホットの缶コーヒーは温度が55℃前後に設定されているようなので、患部に当てればタンパク質毒の働きを失わせる効果に期待できるでしょう。

また、タチウオやサワラの歯が当たった場合。

魚の歯には雑菌がいる可能性も考えられるため、まずは消毒をして、止血します。

血が止まったら、防水性がある絆創膏を貼っておきましょう。

ヒョウモンダコやキタマクラなどのテトロドトキシンは、病院でも確実な治療法が確立されていません。

ソウシハギが有するパリトキシンも同様なので、それらの毒を含む魚からの被害には絶対にあわないようにしましょう。

安全に船釣りを楽しもう

安全に釣りを楽しもう

釣りでは危険な魚が釣れることもあるため、事前に知識と準備をしておく必要があります。

しかし、船釣りでは、釣りに精通した船長や釣り船のスタッフがいるので、釣れた魚が危ないかどうかわからないときには尋ねられて安心です。

「釣れた魚が毒々しい」「触っていいのかな?」と思ったときには、躊躇せず、船長やスタッフに聞き、船釣りを存分に楽しみましょう。

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わたしが書きました

山下 洋太

山下 洋太

釣り歴20年以上のフリーライター。シロギスやメバルのような小型魚からキハダマグロのような大型魚まで、なんでも狙うスタイルで船釣りを楽しんでいます。また、元料理人で釣った魚を調理するのも楽しんでおり、その魅力を発信するべく執筆活動をしております。

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