今回は、3月2日に東京湾にて行われた「江戸前釣り大会2025」の参戦レポートをお届けします。
この大会は、東京湾遊漁船業協同組合が設立50周年を記念して開催したもので、対象魚はアジとタチウオの2魚種。
ここではタチウオ編として、浦安の岩田屋さんより出船した1日の様子をお伝えします。
温かみのある釣船、浦安・岩田屋から出船

岩田屋は1917年に浦安で創業。
100年以上という浦安で一番の長い歴史を持つ老舗船宿です。
今回乗るタチウオのほか、ファミリーや初心者向けのキス、カレイ、アジや、玄人勢に人気のカワハギ、タコ、マゴチなど四季折々の釣りものが楽しめます。
タックルなどのレンタル品や対象魚に合わせた仕掛け類の販売も充実。
そして何より4代目の船長となる岩田一人さんをはじめ、女将さんやスタッフの方たちのアットホームな雰囲気が素晴らしく、船釣り初心者や子供連れのファミリーでも安心して利用できます。
船釣りを始めてみたいけれど、心配事が多くて最初の一歩が踏み出せない、という方にもおすすめしたい温かみのある船宿です。
また、舞浜沖、お台場沖などを周遊する屋形船も運営しており、こちらでは東京湾の夜景を楽しみながら、江戸前の天ぷらやお刺身を堪能できるようです。
本日はこの岩田屋のタチウオ船で大会にエントリー!
「優勝を狙います!」といいたいところですが、じつは船のタチウオ釣りは初体験。
まったくの初心者なので、まずは1本釣り上げたいところ。
浦安、川崎、羽田、深川など東京湾の7つの船宿から約140名もの釣り人が参戦するそうなので、どんな1日になるのか楽しみです。
浦安から神奈川・猿島沖へ

当日朝は船宿に6時10分までに集合ということでしたが、1時間前の5時10分ごろに到着。
すでに何人もの釣り人が受付をしていました。
乗船名簿に記入したり、氷をもらったり、荷物を船に積み込んだり、乗船前は何かと慌ただしいので早いに越したことはありません。
スタッフさんの案内に従って船宿のすぐ隣にある駐車場に車を停めたら、まずは受付へ。
初めて訪れる船宿だと勝手がわからず不安を感じることも多いですが、女将さんがやさしい笑顔で声をかけてくれてホッとします。
ここでは乗船名簿と大会のエントリーカードに記入し、乗船料を支払います。
料金は氷、エサ、大会の参加費含め11,000円。
参加賞ということで、タオル、フロロカーボンのハリス、お茶、お菓子、ステッカーなどをいただきました。
なんだかこれだけでも少し得をした気分です。
釣り座は、今日は大会でグループでの参加者が多いため船宿が指定するとのこと。
私は取材・撮影も行うため、右舷と左舷の行き来がしやすい場所ということで右舷の中央付近に釣り座を取っていただきました。
釣り座が決まったら、受付に置かれている釣り座ボードに名前を記入しておきます。

受付が終わったら、氷をクーラーボックスに入れ、釣り道具と一緒に船に積み込みます。
船着場が宿のすぐ前なので、荷物を持っての移動が楽だったのは嬉しいポイント。
あとは6時20分の出船を待つだけ。
船宿に到着したときは暗かった空も、すっかり明るくなっています。
出船はほぼ定刻通り。
桟橋を離れた船は、旧江戸川を下って東京湾へ向かいます。
岩田船長によると横須賀の猿島周辺まで走るそうなので、しばらく海の景色を楽しむことにします。
3月上旬というと普通であればまだまだ寒いはずですが、この日は季節外れの暖かさで、午後には18℃まで気温が上がる予報が出ています。
風をよけるためにほとんどの方はキャビンの中に入っていますが、こうして外にいてもあまり寒さを感じることはありません。
この暖かさが釣果にどう影響するのか、気になるところです。
いよいよ「江戸前釣り大会2025」がスタート!

猿島沖に到着すると、そこには10隻ほどの釣り船が集結していました。
聞けば、今日参加するタチウオ船がここで全隻集合し、記念撮影をしてから競技開始となるそうです。
これだけ多くの釣船が海上で整列している様子は迫力十分。
参加者140名ほどと聞いていましたが、2隻出している船宿もあるようなのでもっと多そうです。
ざっと見て200人くらいは釣り人がいるのではないでしょうか。
改めてこれだけ多くの釣船、釣り人が参戦していると知り、少し気が引き締まります。

記念撮影が終了すると、いよいよ競技が始まりました。
今から納竿時間となる13時半までの約5時間、1本の最大サイズを競って釣りをします。
各船が大海原に散っていきますが、我らが岩田屋の船は、集合場所からほど近い場所で竿を出しました。
当日の岩田屋の乗船者は21名。そのうち20名が天秤のエサ釣りで、メタルジグの方も1人います。
タチウオ天秤エサ釣りの仕掛けと釣り方

タチウオの天秤エサ釣りの仕掛けは、PEラインのミチイトに天秤というアイテムを繋ぎ、その先にハリスとハリを付けるというシンプルなものです。
天秤を使うのは、海中に仕掛けを投入したときに、ミチイトとハリスが絡んでしまうのを防ぐため。
ちなみに、天秤にもいろいろなタイプがありますが、今回はアームがまっすぐなストレートタイプでアームの長さが30㎝のものを用意しました。

また、ミチイトは船宿の指定通りPE2号、天秤から先の仕掛けは7号のハリスに2/0のハリが付いた市販のものを使用。
前述したようにシンプルな仕掛けなので自作する人も多いようですが、今回は購入したものを使用してみます。
仕掛けの端にスナップ付きサルカンがついているので、簡単に天秤に取り付けられます。
オモリは事前に聞いていた通り80号を用意。
浅場を狙う夏は40号を使うこともあるようですが、今の時期は深場を狙うのでこの重さになるそうです。
これを天秤の下側のスナップに取り付ければ、仕掛けの完成。
タチウオ釣りの仕掛けづくりは比較的簡単です。
ビギナーにとって最初の難関である「結び」が少ないので、初めての船釣りをする方にも向いた釣りではないでしょうか。
朝イチからメーターオーバーが。期待が膨らみます

船長の合図で皆さん一斉に仕掛けを落とします。
指示ダナは55mから54m。
筆者はまず取材ということで、竿を出さずにみなさんの様子を拝見します。
開始直後の1投目から隣とその隣の釣り人がまさかの同時ヒット!
朝日を浴びた銀色の魚体が宙に舞って取り込まれました。
計測してみると、104㎝と92㎝。
いきなりのメーターオーバーです。
タチウオの基本的な釣り方は、仕掛けを目指すタナまで落としたら、竿をしゃくりながら少しずつ誘い上げるのが流れ。
そして重要になるのが「ステイ」。
食わせの間を与え、タチウオがヒットするタイミングを作り出すことが重要です。
104㎝を釣ったお隣の男性に話を聞くと、活性がそれほど高くないと予想し、誘いすぎず、ステイを長めに取ったとのこと。
この釣り方が見事にハマったようです。
この方いわく、季節や日にちだけでなく時間帯によってもこの誘い方を変えなくてはならないのがタチウオ釣りの難しいところ。
しかし、その正解を探し出す作業が楽しいのだそうです。

1投目で2本という幸先の良いスタートに、船中が活気付きます。
しかし、その後が続かず移動。移動した先でも本数が伸びません。
どうやら今日は活性が高いとはいえないようです。
船長に話を伺うとやはり最近はあまり調子がよくないとのこと。
その後は、猿島沖、走水沖、観音崎沖周辺を細かく移動しながらいい魚を狙う展開となりました。
誘い方に悩む釣り人も多く、しゃくりの強さやテンポを変えていろいろな方法を試しています。
すると、ほどなくポツポツとですがアタリが出るようになってきました。
拾い釣りの展開ではありますが、皆さん着実に数を伸ばしています。
サイズも伸びて、船中の各所でメーター超えの魚が上がっています。


難しいから面白いタチウオ釣り

そしていよいよ、納竿まで2時間を切ったところで私も竿を出すことにしました。
ここまでベテランの皆さんの釣りを見て勉強してきたので、自信満々。
このときは、「もしかしたら船でトップを狙えるかも?」という気持ちになっていました。
まずはエサ付け。
短冊状にカットされているコノシロの切身を縫い刺しにします。
水中でエサが回転すると食わなくなるので切身の中心線上にハリを指すようにとまわりの方々に教えていただいたので、その通りにセット。
さらに水中でできるだけ自然に漂うように、ハサミで形をきれいに整えます。
ハリを皮側から通したり、反対に身側から通したり、短くしたり、あるいはちょんがけにしたりと、みなさんエサの付け方もさまざま。
切り身の下側に縦に切れ目を入れてアピール力を高めるといった工夫を凝らしている人もいました。
状況によっていろいろ試したほうがよさそうです。

準備ができたら仕掛けを海中に投入します。
指示されたタナの下限までオモリを沈めたら、ハリスの長さ2m分を巻き上げ誘いスタート。
軽くシャクリを入れながらタナ上限まで少しずつ巻き上げ、また下限まで落とす、という動作を繰り返します。


しばらくすると、私の手元にもコツコツというアタリが伝わってきました。
が、乗りません。
その後もアタリはあるものの針掛かりしないという状況が続きます。
誘い方が悪いのか、エサの付け方が悪いのか、それともアタリがうまく取れていないのか。
走水沖では、一時的に船中ヒットが続いた時間帯も。
私だけうまく掛けられず時間が過ぎていきます。
そして、無情にも13時半の納竿を迎えてしまいました。
今にして思えばハリのサイズを落としたり、ハリスの長さを変えたりと細かい修正が必要だったのかもしれませんが、時すでに遅し。
初めてのタチウオ釣りはオデコという情けない結果となりました。
注目の結果発表。

結果、船中の合計数は40本弱といったところ。
サイズのトップは岩田屋の常連だという天草零さんで117.5㎝でした。
「やっぱり『冬タチ』。掛ける難しさ、誘いの難しさを感じました。まわりの方を見ていると誘わない、しゃくらない釣り方っていうのが主流のようだったので、私も見習って強く誘いすぎないようにしました」と天草さん。
今日の状況にしっかりアジャストして釣果に繋げるとは、さすがです。

競技終了後には、参加した全ての船が大森の船宿『まる八』の桟橋に集合。
そして、参加者注目の表彰式が行われました。
全船の総合優勝を果たした方のサイズは、ドラゴンサイズの132.7㎝!
残念ながら岩田屋からは全体の表彰台に上がる方は出ませんでしたが、各船のトップ3にもタックルボックスなどの賞品が贈られました。
また、お楽しみ抽選会でも豪華な賞品が多数配られ、会場は大いに盛り上がりました。

最後に岩田船長に話を伺いましたが、やはり今日は難しかったとのこと。
「数狙いならもっとやりやすかったけれど、今日は1匹のサイズ勝負だったからね。ちょっと渋かったけれど、また来年に期待です」

一緒に船に乗った皆さんも下船時はそろって笑顔。
充実した1日となったのではないでしょうか。
私も釣果的には残念な結果となりましたが、大会ならではの緊張感もあってとても楽しく過ごせました。
また次回、リベンジしたいと思います!
▼今回乗船した岩田屋について
▼岩田屋のタチウオのプランはこちら
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