今回は、2024年12月3日に神奈川・鴨居大室港の五郎丸にて行われた「シーズン最盛!カワハギステップアップセミナー」の模様をお届けします。
このイベントは、カワハギ釣りのスキルアップを目指す方向けに、若き名手、荒井良乃介さんを講師に招いて実釣講習会を行うというもの。
あっという間に満員御礼となってしまった大人気の企画です。
このイベントでは、参加していただくみなさんに事前アンケートを実施。
当日聞きたいことやスキルアップしたい部分、普段使用しているタックルなどをご記入いただきました。
それを拝見すると、「ハリの種類とサイズの選び方を知りたい」「集寄の釣り方を学びたい」「宙釣りのコツは?」といった、中・上級者ならではの質問がたくさん。
また、普段使用しているタックルの欄には、ダイワの「極鋭」や「瞬鋭」、「メタリア」といったハイエンドモデルの名前がずらり。
みなさんの本気度がバリバリ伝わってきます。
鴨居大室港・五郎丸にトッププロと乗船
講師の荒井良乃介さんについてはご存知の方も多いでしょう。
2000年生まれでまだ東京海洋大学大学院に通う学生でありながら数々のトーナメントで好成績を残し、DAIWAのフィールドテスター、アングラーズマイスターも務める、まさにカワハギ界のプリンス。
メディアにも多数登場し、わかりやすく情熱的な解説で人気となっているアングラーです。
さて、それでは当時の様子をお伝えしていきましょう!
集合は朝6時45分。
すでに荒井さんの周囲には参加者のみなさんが集まっており、次々と釣りに関する質問を投げかけています。
そして出航前には荒井さんから参加者のみなさんにご挨拶。
今日の進行方法に加え、潮が速いことが予測されるので、オマツリの防ぎ方なども説明してくれました。
荒井さんの元気な声に、みなさんのテンションがさらに高まったようです。
また、今日は試釣ができるDAIWAのカワハギロッドも用意されており、「極鋭 カワハギAIR」シリーズ、「極鋭 カワハギ EX AGS」のMCとLC、「瞬鋭」シリーズといった最高峰クラスのロッドを実際に使って試せる絶好の機会となっています。
■今回の釣船 五郎丸
今回利用させていただく釣船は、神奈川県・鴨居大室港の五郎丸。
明るく人柄の良いスタッフが親切・丁寧に対応してくれる人気の船で、カワハギのほか、アジ、タチウオなど一年を通して出船。
腕が確かなベテラン船長がそろっているので、初心者からエキスパートまで気持ちよく利用できます。
いよいよセミナーがスタート!
予定時刻通り、7時30分に出船。
カワハギのポイントとして知られる鴨居沖にわずか10分ほどで到着し、本日のカワハギ釣りがスタートです。
すでに準備万端の参加者のみなさんは、一斉に仕掛けを海に投入。
みなさんが釣りをしている間に、荒井さんは順々にみなさんの釣り座を回り、実際に釣りをしながら指導する予定です。
「時間があるので、がんばれば2周できるはずです。まずは右舷の一番前の方から行きましょう!」と荒井さん。
みなさんのカワハギ釣りの悩みを解決するために、早速最初のアングラーの元へと向かいました。
参加者のみなさんは、荒井さんが自分の元に来るまで自分の釣りに全集中。
今日の1枚目を釣ろうと竿先に神経を集中させます。
この隙のない構えからも、熟練度の高さが伺い知れます。
するとほどなく、船中の各所で次々にカワハギが釣れ始めました。
中には良型も混じっているようです。
みなさん、さすがの腕前です。
ゼロテンション釣法ってどんな釣り方?
一方、荒井さんはみなさんのお悩みを解決するために船中を駆け回っています。
釣り方が多様で奥深いと言われるカワハギ釣りですが、この日多く聞かれた質問は、基本ともいえる「ゼロテン」の釣り方について。
仕掛けを張らず緩めずのゼロテンションのままキープするのが「ゼロテン」ですが、より釣果を上げるためにはどうすればいいのか、悩んでいる方が多いようです
そこで、まずこの「ゼロテン」の釣りについて荒井さんに聞いてみました。
「まずオモリが着底したら、一度竿先を1mくらい上げてオモリを底から切って、そこからゆっくり竿先を下げて誘い下げます。速さは秒速1cmくらい。このときにアタることもあります。カワハギは上から下に追いかけてきて食う魚なので、誘い上げるのではなく誘い下げるということを意識してください。そして、竿先を下げていってオモリが底に着いたら竿先が動かないように集中し、そのゼロテンションの状態を2秒キープ。ここが食わせどころです」
「それでアタリが出なかったら、今度はオモリで底をトントンと小突いてカワハギを誘います。これは5回から10回くらい。そうしたらまた竿先が動かない状態を、今度は5秒くらいがんばって保ち、食わせの間をつくります。それでアタリがでなければ、最初からやりなおし。このセットを繰り返します。アタリがないと動きを止めてしまいがちですが、そうするとさらに釣れなくなってしまうので、アタリが出なくてもこの動作を続けるようにしましょう」
荒井さんによると、大切なのは、誘いと食わせのメリハリを付けることだそう。
オモリで底を小突いて誘うときはしっかりと動かし、そのあとで「魚に差し出すようなイメージで」ピタッと止める。
カワハギも動いているものより止まっているもののほうが食べやすいので、動いていたエサが止まったときに吸い込むのだそうです。
「まずは止めて竿先が動かない状態をつくること。しっかり止めることができれば、よりわかりやすいアタリが出るようになります。そうしたらカワハギ釣りのもっとおもしろい世界が見えてくると思いますよ。あとは、誘い方をトントントンと激しくしたり、トン、トンとゆっくりにしたりバリエーションをつけるのもいいと思います。それで誘いが全く違うものになるので」
難しいからおもしろいカワハギ釣り
しかし、それにしても見ていて驚くのが、荒井さんのカワハギ釣りの実力。
荒井さんが、参加者のみなさんのところで説明をしながら竿を借りて釣りをするのですが、それまで釣れていなかったのに、荒井さんが竿を持つとなぜかすぐに釣れてしまいます。
どうして荒井さんに竿を渡した途端に釣れてしまうのかと、参加者の方は苦笑い。
そんな光景が何回も見られました。
さすがトーナメントでも大活躍するプロのアングラー、恐るべきです。
「カワハギ釣りのおもしろさは、まず腕の差が出るところ。釣れていても釣れてなくても何か原因があるし、正解は分刻みで変わっていきます。そこを突き詰めていくのが楽しいんだと思います。すぐに上達はできないけれども、たまにうまくいくと嬉しい。その積み重ねが夢中にさせるんです」と荒井さんは言います。
「また、人によってアプローチの方法が全然違うというのもカワハギ釣りの面白さ。同じように見えても、竿も仕掛けも針も人によって違います。でも、こうでなければいけないという決まりは僕はないと思っています。みなさんには、我流を突き詰めていただきたい。僕はそのお手伝いをできればいいんです」
そう話す荒井さんの指導は、的確でわかりやすいと参加者のみなさんに大好評。
質問に答える荒井さんの言葉に大きく頷いている方も多くいらっしゃいました。
船中の釣果も上向きになり、荒井さんが2回目の周回に入るころには、全員が魚をキャッチ。
指導によって実力が上がったのを実感しながら、楽しく釣りができていたようです。
エサを付けるときはていねいに
荒井さんから、もうひとつ大切なアドバイス。
エサの付け方についてです。
カワハギ釣りのエサにはアサリの剥き身が使われますが、その付け方次第で釣果に大きく差が出るのだとか。
「エサをハリに付けるときは、時間がかかってもいいのでていねいに。周りが釣れていて焦っていても、雑に付けないようにしてください。それから、釣っていてエサがほどけてしまうことがあるかと思いますが、そういう場合は必ず付け直してください。そのままだと絶対に釣れません。ていねいなエサ付けを徹底することが、釣果を上げる第一歩です」
最も簡単でスピーディーなエサの付け方は、アサリの水管、ベロの順にハリを通し、最後にカワハギが一番最初に食べるワタの部分にハリ先を埋めます。
ちなみに、荒井さんがこの作業をすると目にも止まらぬ速さで、1秒、いや0.5秒ほどしかかかりません。
ここでもトップトーナメンターの実力が見られました。
大充実のセミナーが無事終了!
ほかにも、エア抜きの仕方、種類がたくさんある竿の使い分け、竿先の角度のつくり方、宙吊りの仕方、集寄の使い方、ハゲバリとスピードハリの使い分けなどなど、それぞれのタックルや釣り方に合わせ、熱い指導を休みなく続けた荒井さん。
2周目の指導を終え、いよいよ声が枯れ始めたころに時間を迎え、納竿となりました。
釣りを終えて鴨居大室港に戻ってきたのは15時。
みなさんに釣果を伺うと、一人14枚の方がいて竿頭。
そして13枚が3名、12枚が1名、10枚が4名と続く感じでした。
ただ、荒井さんの指導には釣果以上の価値があったようで、誰もが充実感に溢れる笑顔を浮かべていました。
「次はいつですか」という声も多数聞かれたので、みなさんの満足度は非常に高かったのではないでしょうか。
トッププロの釣りを目の前で見て、指導を受けられるという大好評のこの企画、再開催が望まれます!
ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!
▼今回乗船した五郎丸についてはこちら
▼五郎丸のカワハギの釣りプランはこちら
▼関連記事